私の資産形成の大半は投資信託です。
(なぜ投資信託が資産の大半を占めるか、の理由については別記事で解説しようと思います。)
資産形成における投資の大原則は「長期・分散・低コスト」とよく言われています。
投資信託においては商品が無数に存在しますが「低コスト」かどうかを判断できるかは非常に大事な要素になります。以下ではその辺りに関して、よく目にする用語とともに解説します。
本記事の総括
優良の投資信託の商品は、購入時手数料、解約手数料、信託財産留保額、が0円で設定されており、信託報酬やその他費用の料率が合算で非常に低く(年率0.2%以下など)設定されている。為替ヘッジは個人の運用スタイルにもよるが、長期運用なら為替ヘッジは無いほうが良い可能性が高い。
資産形成における投資の大原則は「長期・分散・低コスト」
まず本題に入る前に、折角なので「長期」と「分散」についても簡単に触れておきます。
「長期」に関してですが、これは買い手側が長期的に購入して運用するかどうかになります。特に毎月購入などの積み立て運用をせず、スポットで購入して、それを短期間で売却してしまうようなことを「短期」運用というので、そういうことをしなければおのずと「長期」運用になります。
「分散」に関してですが、投資信託では大半の商品が「分散」の度合いこそ異なるものの、個別株などと比較して「分散」に該当します。これは投資信託の商品というものが、買い手側の資金を指定のファンドで集めて、そのファンドで運用方針に沿って複数の銘柄(複数の個別株)を購入、運用するためです。複数の銘柄を購入して運用することで投資対象、リスクを分散しているということになります。この分散度合いは高分散であればあるほど良いと言われています。なので全世界の株式に投資するというオールカントリーなどの投資信託に人気があるのです。
さて、ここからが本題の「低コスト」のところです。
投資信託のコストに関する用語
投資信託ではよく、コストに関して以下の用語が出てきます。
- 購入時手数料
- 換金時(解約)手数料
- 信託財産留保額
- 信託報酬
- その他費用、手数料
- 為替ヘッジ
いきなり6つも出てきて拒否反応を示す方もいらっしゃるかもですが、一つ一つ解説します。
購入時手数料
これは、投資信託商品を購入するときにかかる手数料です。支払先は投資信託の販売会社です。
優良ネット証券などでは、優良といわれる商品の大半はこれが0円で設定されています。一方で、ネット証券以外など含めて高額なものはこれが購入金額の3%超で設定されている商品もあります。
手数料が高い=良い商品というわけではありません(安かろう悪かろう、ではない)。
資産形成といえば株式が有名ですが、全世界の優良企業を集めた全世界株式(オールカントリー)で大体年平均で7%前後の利回りといわれております。購入時だけで3%も取られてしまうと考えると、初年度の利回りの大半が既に無くなってしまうくらいの規模ですね。極力0円の商品を選びましょう。
換金時(解約)手数料
これは、投資信託商品を解約、売却するときにかかる手数料です。支払先は投資信託の販売会社です。
購入時手数料同様、優良ネット証券などでは、優良といわれる商品の大半はこれが0円で設定されています。高額なものはこれが売却金額の数%で設定されている商品もあります。購入時手数料同様、極力0円の商品を選びましょう。
信託財産留保額
これは、解約手数料同様に投資信託商品を解約、売却するときにかかる手数料です。解約手数料との違いは、支払う先が解約しようとする投資信託の財産(投資信託の財産に組み込まれる)、という点です。なぜこれが設定されているかの背景についてはここでは省略します。
優良ネット証券などでは、優良といわれる商品の大半はこれが0円で設定されています。極力0円の商品を選びましょう。
信託報酬
これは、販売会社とは別で運用を信託されているファンド側に支払う手数料(報酬)です。
ファンドの運用方針として、特定のインデックスなどのベンチマーク・市場に連動タイプのパッシブインデックスファンドは、マンパワーがかからないなどで信託報酬が比較的低くなる傾向があります。反対に独自の調査、運用によって市場以上の成果を出そうとするアクティブファンドは、信託報酬が比較的高くなる傾向があります(高いものは年1.5%を超えてきます)。
ここでは詳細は省略しますが、現代市場においては中長期的な期間では大部分のアクティブファンドがパッシブインデックスの成績、つまり市場平均を下回る成果になっていることが分かっています。そのため、よほどの理由がない限りは、信託報酬も低いパッシブインデックスファンドがお勧めです(手数料が高いのに成果が低いのなら選ぶ意味なし)。※
信託報酬は年0.2%を下回ると低い印象があると個人的には思います。
投資信託で絶大な人気を誇るeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)の信託報酬は2024年7月時点で0.05775%/年です(購入時手数料、解約手数料、信託財産留保額も0)。
その他費用、手数料
これは、ファンドおける監査費用や書類の印刷費用などの運用上必要な手数料(経費)です。これも基本的には避けられない手数料ですが、低いに越したことはありません。
為替ヘッジ
これは、手数料の欄ではなくファンドの説明文側に記載されている場合が多いため見落としがちですが重要です。
取り扱うファンド、商品の中身が日本国外の外国株などが該当する際に見ることがあります。為替ヘッジが「なし」または「あり」と商品のどこかに記載されています。
ここでは詳細は省きますが、為替ヘッジが「あり」というものは日本と海外との為替レートを事前に決めておくという運用をするため、日本と海外の金利差がある環境では、大まかにその分の「ヘッジコスト」という手数料がかかります。
日本の金利は海外と比較してここ数十年低いため、これが逆転しない限りは手数料がかかります(逆転すればプレミアムが付きますが)。
短期的局面では為替変動は無視できないため、時にはヘッジコスト以上に運用面で見返りがある機会はありそうですが、長期的局面では為替変動は株式の動き(上昇)と比較すると些細なものであり、ヘッジコスト分が足かせになる機会が多い印象が個人的にはあります(未来はだれにもわかりませんが)。
さいごに
長くなりましたが、一通り説明しました。ここまでお付き合いいただきありがとうございます。
販売会社やファンドの手数料が高いというのは、一言でまとめると、購入者の利益を中抜きしてくる、というのと近しいかもしれません。
株式などの資産運用における年率、資産上昇想定というのは、あくまで想定であり、必ず資産が増えることを約束しているものではありません。一方でコスト、手数料というのは必ず発生するものです。よって、個人投資家である我々は確定されたマイナスの要素であるコスト(利益の中抜き)は最低限に抑えるように心がけて商品を選択、運用したいですね。
※
余談ですが、
現代市場においては中長期的な期間では大部分のアクティブファンドがパッシブインデックスの成績、つまり市場平均を下回る成果になっていることが分かっています。そのため、よほどの理由がない限りは、信託報酬も低いパッシブインデックスファンドがお勧めです。
の部分について、補足するための商品の紹介です。
敗者のゲームでは、手数料が低いこと、の重要性が説かれています。
ファイナンス理論全史では、理論的かつ歴史的かつ学術的に、アクティブがパッシブに敵わないことについて一部例外を除いて解説されています。
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